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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第2章 家出
 だが、今、眼前で涙を浮かべている凜鈴に本心は告げられなかった。
「凜鈴、せっかく陛下がお越しになられるのですもの、あの簪を持ってきてくれないかしら」
「と申しますと、お輿入れのときにお持ちになった珊瑚の簪でございますか?」
 芳華は頷いた。
「そう、あの紅珊瑚の簪を持ってきてちょうだい」
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