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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル 深き眠りの底で~浄心院での日々~
「珍しい女人とは?」
祖母は真顔で首を傾げた。
「曺紫蘭とかいいましたか、二十歳ほどの美しい娘でしたが」
祖母が怪訝な面持ちで彼を見た。
「曺紫蘭と名乗れば、この浄心院では先帝の皇后であった曺皇后のことでしょう。曺皇后に逢ったの?」
「牡丹を摘んでいましたよ。咲き誇る牡丹も霞んで見えてしまうほどの美貌だった。俺を見て弟と間違えたのか〝鵬貞〟と呼んでいました」