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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル 深き眠りの底で~浄心院での日々~
刹那、祖母は惚けたように彼を見つめた。何を言っているのか判らないといった体だ。
「―鵬純、お前、何を言っているの?」
ややあって、祖母が声を震わせた。孫が今では皇帝だという事実も忘れ果てたようだ。
彼はもう一度、はっきりと繰り返した。
「お祖母さま、俺はあの娘が欲しい」
「馬鹿なことを考えるのはお止めなさい。何故、寄りにも寄って曺皇后なの? あの娘はただの女ではないのよ。先帝の皇后であり、あなたの弟の妻だった女なの。誰がどう見ても、あなたが娶ることはできないわ」
「―鵬純、お前、何を言っているの?」
ややあって、祖母が声を震わせた。孫が今では皇帝だという事実も忘れ果てたようだ。
彼はもう一度、はっきりと繰り返した。
「お祖母さま、俺はあの娘が欲しい」
「馬鹿なことを考えるのはお止めなさい。何故、寄りにも寄って曺皇后なの? あの娘はただの女ではないのよ。先帝の皇后であり、あなたの弟の妻だった女なの。誰がどう見ても、あなたが娶ることはできないわ」