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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル  深き眠りの底で~浄心院での日々~
 どうして曺皇后なの?
 胡太后は力なく首を振った。今まで幼いときから、およそ物をねだったり執着することのない子が生まれて初めて何かが欲しいと訴えた。人間というものを信じず、孤独に育った鵬純は年頃になっても、女ですら寄せ付けなかった。
 彼の言うとおり、七人の妃たちを迎えたのは二十五歳で皇帝になって必要に迫られてからだ。皇帝になどならなければ、恐らく結婚することもなく生涯を独身で過ごしたに違いない。―彼はそんな男だった。
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