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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル  深き眠りの底で~浄心院での日々~
 祖母の室を出た鵬純はそのまま長い廊下を歩き、庭に出た。扉の前で待機している宮女たちが深々と頭を下げているのも今日は眼に入らなかった。
 牡丹園を通り掛かった時、彼はふと歩みを止めた。つい半刻前、あの娘―曺皇后と出逢った場所だ。今もあのときと変わらず濃いピンクの牡丹がたっぷりと重たげな花をつけて群れ咲いている。見事なものだ。
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