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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル  深き眠りの底で~浄心院での日々~
「末代までの笑いもの、か」
 彼は独りごち、低い声で笑った。確かにそうだろう。祖母の言い分は正しい。皇帝となって五年というもの、彼は彼なりに良き君主であろうと努力してきた。老臣の言い分にも耳を傾け、極力臣下たちと諍いを起こさないようにしながらも自ら意欲的に政を行った。
 その努力は着実に実を結びつつある。かつて中興の賢帝と讃えられた曾祖父光武帝には及ぶべくもないが、徳治帝はその名のとおり、徳をもって仁政をしく皇帝として民や臣下たちからの支持を集めつつある。
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