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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第11章 後宮艶夜*スキャンダル 接近~二つの心~
「あなたは」
二日前、この場所で出逢った男だった。今日も絹の袍を纏っている。この紫袍は朝廷の臣下でも高級官僚だけが着用を許されている。恐らく、彼もそれなりの官職に就いているに違いない。見たところ、まだ若そうに見えるが、有能さを皇帝から認められているのだろう。
「また逢ったな」
男は以前よりも随分と親しげに声をかけてきたが、不思議とそれを馴れ馴れしいとか不快には思わなかった。