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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第11章 後宮艶夜*スキャンダル 接近~二つの心~
「―」
 返事はなかったが、皇帝は顔を上げて紫蘭を見た。続きを待っているのだと判り、紫蘭は小さく息を吸い込んで続けた。
「今ならまだ間に合います。このような愚かなことは即刻、止めるべきです」
「愚かだと?」
 感情の読めぬ瞳は紫蘭に黙って懐剣を突きつけたときの胡太后とよく似ていた。紫蘭は恐怖に竦みそうになる心を叱咤する。
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