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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第13章 後宮艶夜*スキャンダル 嫉妬~心に巣喰う魔物~
 この鵬雄こそ後の永徳帝である。永徳帝は後年、再び浄心院で暮らすようになった紫蘭に義母として孝養を尽くした。しばしば浄心院を訪れ、義理の母と語らうのが皇帝の日課であったと伝えられる。実のところ、成人してからの永徳帝は実の母である苑貴妃よりも嫡母の曺太后に心を開いていたと記録に残っているほどだ。
中には紫蘭は二代に渡っての皇帝の寵愛を受けたばかりか、この年若い少年皇帝までとも道ならぬ関係にあったといわれている。
-現陛下と先代陛下は紛れもない父と息子、女の好みが似ていたとしても不思議ではない。
 と、紫蘭にとっては不名誉極まりない噂が一時まことしやかに流れたことさえあったのだ。それは紫蘭にとっては義理の息子にも当たる永徳帝が再々浄心院を訪れたからでもあった。義理の母の皇太后と談笑する義理の息子の皇帝は後宮のどんな女たちと過ごしているときよりも生き生きとして、楽しげであった。
 そこから、こんな馬鹿げた噂が生まれたのは明かである。
 もちろん、これは事実無根の悪意ある噂にすぎない。
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