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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第13章 後宮艶夜*スキャンダル 嫉妬~心に巣喰う魔物~
こんなときなのに、誕生日も何もないだろうに、このひとは私の生まれた日を憶えていてくれていた。心に言いようのない嬉しさと哀しさが渦巻いた。
「あなた―」
涙声で呟くと、皇帝が笑った。
「初めて呼んでくれた。妻が夫を呼ぶように」
もう一度、呼んでくれ。皇帝が眼を閉じて言う。もう、眼を開けていることもできないのだ。紫蘭はもう溢れる涙を拭うこともせずに幾度も呼んだ。