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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第14章 後宮艶夜*スキャンダル Epilogue~あなたを忘れない~
まだ七歳の翠蘭は小首を傾げ、あどけない表情で牡丹を眺めている。最愛の男の面影を濃く宿す愛娘の横顔を見ながら、紫蘭は改めて思った。
―鵬純さま、私はあなたを忘れません。だって、あなたは私が生涯でたった一人の身も心も燃やし尽くして愛した男だから。
初夏の風が優しく牡丹を揺らして通り過ぎてゆく。
紫蘭の地味な深衣に結んだ帯から玉佩が垂れている。その桜の形をした玉佩がかすかに揺れた。
―鵬純さま、私はあなたを忘れません。だって、あなたは私が生涯でたった一人の身も心も燃やし尽くして愛した男だから。
初夏の風が優しく牡丹を揺らして通り過ぎてゆく。
紫蘭の地味な深衣に結んだ帯から玉佩が垂れている。その桜の形をした玉佩がかすかに揺れた。