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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第16章 番外編【美しき皇太后と若き皇帝】
「翠蘭はまだ十四歳です。私はちゃんとやっていけるのかどうか不安で仕方ないのですよ」
真顔で言う皇帝に紫蘭は首を振る。
「陛下、女というものはたとえ年若くても母となったからには、強いもなのですよ。黄貴妃をご覧なさい。普段はてもおとなしい方でも、きっと我が子のこととなると別人のように変わるはず。だから、翠蘭も大丈夫。きっと母としても栄国の王太子妃としても上手くやっていってくれるでしょう」
「それならば良いですけどね」
皇帝は幼少期から度々、紫蘭を訪ねてきていた。そのときには妹の翠蘭ともよく遊び、可愛がっていた。妹が可愛くてならない彼は最初に栄から婚姻の話が来たときも、
-そんな遠い国にはならぬ。
と突っぱねたほどだったのだ。
「それよりも、陛下。国務でお忙しい御身ゆえ、こう毎日のようにお出かけになられずとも良いのですよ。私はたまに陛下が思い出したときにお訪ね下さったときだけで十分なのです」
皇帝が義母の元にいそいそと通うのを快く思わない人は大勢いる。皇帝の生母の苑氏(元苑貴妃)や朝廷の重臣たちもこの二人の間に義理の母子以上のものがあるのでは勘ぐっている輩も少なくはない。
紫蘭はまだ三十六歳なのだ。年齢を感じさせない臈長けた美貌は二度目の良人徳治帝を失ってからは更に儚さを増した。その美しく若い義母とますます亡き先帝に似てきた皇帝が談笑する仲むつまじい姿を微笑ましいと見る人ばかりではない。
真顔で言う皇帝に紫蘭は首を振る。
「陛下、女というものはたとえ年若くても母となったからには、強いもなのですよ。黄貴妃をご覧なさい。普段はてもおとなしい方でも、きっと我が子のこととなると別人のように変わるはず。だから、翠蘭も大丈夫。きっと母としても栄国の王太子妃としても上手くやっていってくれるでしょう」
「それならば良いですけどね」
皇帝は幼少期から度々、紫蘭を訪ねてきていた。そのときには妹の翠蘭ともよく遊び、可愛がっていた。妹が可愛くてならない彼は最初に栄から婚姻の話が来たときも、
-そんな遠い国にはならぬ。
と突っぱねたほどだったのだ。
「それよりも、陛下。国務でお忙しい御身ゆえ、こう毎日のようにお出かけになられずとも良いのですよ。私はたまに陛下が思い出したときにお訪ね下さったときだけで十分なのです」
皇帝が義母の元にいそいそと通うのを快く思わない人は大勢いる。皇帝の生母の苑氏(元苑貴妃)や朝廷の重臣たちもこの二人の間に義理の母子以上のものがあるのでは勘ぐっている輩も少なくはない。
紫蘭はまだ三十六歳なのだ。年齢を感じさせない臈長けた美貌は二度目の良人徳治帝を失ってからは更に儚さを増した。その美しく若い義母とますます亡き先帝に似てきた皇帝が談笑する仲むつまじい姿を微笑ましいと見る人ばかりではない。