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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   
※体調に異変を感じた読者様は、無理されず一旦離れる等して、お身体ご自愛下さいませ。
――――――――




「………………」

 百合の紋章が印象的な清廉な壁紙に、アンティークの白い家具達。

 広い部屋の隅にある、四方を支柱に囲まれたキングサイズのベッドには、支柱からシフォンのカーテンが垂れた状態で。

 どこからどう見ても、うら若き女性の部屋。

 なのに、

「ぁあ……っ ……様っ」

 白いふかふかのリネンの上、

 黒のスーツに身を包んだ男が。

(……な……に……?)

 遮光カーテンが開け放たれ、陽光が差し込む白一色のそこに、

 浮き彫りになる幾つもの違和感。

 どう……し、て……?
 
 どうして、貴方が、私のベッドの上にいるの?

 どうして、そんな切な気な声を上げているの?

 どうして――、

「……ぅうっ はぁ……、あ、あ……っ」

 常は凛々しい黒のスーツ姿が、今はベルトを解きスラックスを膝までずり下げていて。

 そして、露わになったそこに――。

「……な、に……して、るの……?」

 自分の部屋で繰り広げられている、余りにもな惨状に、

 ヴィヴィの唇から零れたのは、そんな無意識の呟き。

「―――っ!?」

 シフォンのカーテン越し、こちらをはっと振り返ったその男と視線がかち合う。

 いつもは乱れたところなど皆無に等しいリーヴが、執事のお仕着せのベルトを解き、

 下着の隙間から露出した己の陰茎を、色とりどりの布で覆っていて――。

「………………」

 ずっと、潔癖症なのだと思っていた。

 日本という国が大好きで、日本語と日本の文化に造詣が深くて。

 いつも求められる以上の心配りをしてくれていた、執事の鏡の様な人間。

 なのに――。

 気が付けば、シャツワンピから覗いた両膝が、がくがくと震えていて。

 あまりの驚嘆に馬鹿になった腰から、力が抜けてしまった。

 へなへなと戸口にへたり込みながらも、灰色の瞳にくっきりと像を結んだのは、

 執事が手にしていた布の正体――。

(そ、それ……っ 私の……下着……っ)

 よく見ればベッドの上にも、沢山のブラジャーやショーツが散らばっていて。

 はっと我に返った様子のリーヴが、素早い動作で露出していた下半身を元へと戻す。

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