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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第19章
Quand il me prend dans ses bras,
貴方が私を腕に抱き寄せ
Il me parle tout bas
そっと囁く時
Je vois la vie en rose,
私の人生は 薔薇色になるの
Il me dit des mots d'amour
耳元で 貴方が囁く
Des mots de tous les jours,
愛の言葉に満たされた日々
Et ca m'fait quelque chose
私の中で何かが変わり
Il est entré dans mon coeur
Une part de bonheur
その心に
貴方が入り込んだ――
高いところで纏めた髪を結ぼうとし、後れ毛が気になり覗き込んだ鏡。
そしてその端に認めたのは、物音ひとつ立てず私室の扉に佇む、一人の男。
「………………」
Dont je connais la cause,
幸せを分かち合う歓びを知ったから
C'est lui pour moi,
貴方は私だけを見て
Moi pour lui dans la vie
私はずっと 貴方だけを見て生きたの
Il me l'a dit, l'a jure
貴方が そう言ってくれたの
Pour la vie
一生そうすると 誓ってくれたの
Et des que je l'apercois
貴方に出会えた その瞬間から
Alors je sens en moi, mon coeur qui bat...
私の中で 心がときめくのを感じたの
シャンソン(広義:フランス語の歌)では曲よりもむしろ歌詞が重要視され、物語風の内容をもつ歌が多いと言われている。
『でも、そうか。うん……じゃあ、やっぱりあの選曲で良かったな。ヴィヴィ、おめでとう』
そう新たな門出を祝ってくれた振付師・宮田の言葉を思い出す。
(ぜんぜん、めでたくなんか、ないけれど……)
髪を纏め上げえたヴィヴィがブラシを引出しに仕舞うと、今度は足音を殺す事無く、男がゆっくりと近付いてきた。