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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第19章
避妊具を処理し終えたフィリップが振り向いた視線の先、薄っぺらな躰にシーツを巻き付けたヴィヴィは、白のベッドヘッドに凭れかかっていた。
「どうだった?」
至極すっきりした表情で尋ねてくる男に、女は金の頭を傾げながら唸る。
「う~~~ん。普通?」
普段通りにイケたし、取り立てて変な性癖を見せつけられた訳でもなし。
「普通にセックス出来た」という意味でぽろっと出た言葉に、受け取る側のフィリップは一瞬静止し、
「ぐさ……っ」
そんな効果音付きで己の胸に両の掌を合わせ、傷ついた表情を浮かべていた。
「……っ あ! ごめんなさい……、今のは酷かった、うん。とても “気持ち良かった”。 ありがとう」
心身ともに凝り固まっていた自分を入念に解し、慎重に抱いてくれた感謝を素直に口にしたヴィヴィ。
本当に気持ち良かった。
どうしても比べてしまう “たった一人の男” と比較しても、過不足は無かった。
隣に座る男の顔を見上げ礼を述べれば、拗ねた表情を浮かべていた端正なそれは、まるで南仏の太陽を浴びたかの如く「ぱぁ~~」と明るく晴れた。
「~~~っ!? ヴィー、これで君は俺のものっ 結婚しよう!!!」
「な……っ!? なんでいきなりそうなるのっ」
剥き出しの両肩を掴まれ、実は三度目となる求婚をされたヴィヴィは、目を白黒させて悲鳴を上げる。
(えっ? 世の中の人は一度寝たら結婚するの!? いや、そんな訳無いよね? だってそれだったら、フィリップは何回結婚してるんだっていう)
ヴィヴィが彼を選んだ理由の一つは「プレイボーイのフィリップなら後腐れ無いだろうから」だったのに。
「あはは! 分かってる。ごめん、冗談。でも――」
「?」
「セックスしてみて、俺は余計にヴィーを好きになった。いいや、もはや愛しているっ!」
自信満々に相手への気持ちを口に出来るフィリップに、ヴィヴィは羨ましさ半分、妬ましさ半分といった、複雑な表情を浮かべる。
「はあ……、あなたって、本当におめでたい人ね」