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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第20章
オックスフォード大学の伝統、卒業試験後のトラッシング(Trashing)だ。
学生が学界を去る前に、盛大に労をねぎらおうという習わしのそれ。
ヘロヘロで会場から出てきたヴィヴィにも強烈なねぎらいが寄越され、振りかけられた粉に咳き込んだ。
柵の向こうからダリルに手渡されたシャンパンボトルをやけくそでラッパ飲みしている間にも、頭から泡のスプレーが容赦なく吹きかけられる。
まるで泡オバケと化したヴィヴィは、苦しかった試験期間からの解放感で、クリスのカメラに向かってはじける笑顔でピースをした。
そして、
「やっと終わった――――っ!!!!」
青空に向かって両腕を突き上げながら叫んだヴィヴィに、周りの同級生達も爆笑しながら拳を突き上げたのだった。
後日。
クリスのブログには「おつかれさまでした」というタイトルで、二枚の写真が掲載された。
一枚目は卒業試験の初日、(卒業式しか被らないけれど持って来いと言われる)黒の角帽を小脇に挟み、緊張した面持ちのヴィヴィが試験のために家を出るところ。
そして、二枚目はもちろん、
試験が終わり、スプレーまみれになって破顔するヴィヴィなのであった。