この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第20章
握り込んでいた片方の拳の中、自責の念を更に握り潰していると、電話の相手は軽い口調で話しかけてくる。
「う~~ん、それは違うんじゃないか?」
「…………」
「クリスは……。う~~ん、なんだろう? なんというか、ヴィーと添い遂げる為だけに、生きているように見えるけれど?」
「え?」
「ヴィーが「迷惑をかけている」と恐縮していることも、クリスからしてみれば「 “自分だけ” が支えてあげられる喜び」になっている風に見えるけれど?」
第三者であるフィリップからの指摘に、ヴィヴィはさっと顔色を無くす。
「……そん、な……」
確かに、クリスはヴィヴィに甘過ぎるし、常に妹を優先してフォローしてくれる。
けれどそれがもし「手のかかる妹だから仕方がなく」ではなく「妹に必要とされることだけに自分の存在価値を見いだしている」状態だとしたら?
(まさか……そんなはず、無い……。だって、クリスは何だって出来て凄いじゃない。勉強もフィギュアも、周りへの気配りも……)
幼い頃より彼自身が周りから高い評価を受けており、それによって自己肯定も育まれてきている筈――なのに。
でもどこか、双子の兄の危うい部分を日頃から感じ取っていたのか。
金の頭の中で過去のクリスを反芻し始めたヴィヴィを、電話相手が強引に現実に引き戻した。
「でも、それも “おかしい” からね」
「え……?」
(おかしいって……? 何が?)
「 “今度” はクリス――? 違うだろう?」
「―――っ」
フィリップの辛辣な邪推に、ヴィヴィの顔に浮かんだのはれっきとした怒り。
『ヴィクトリア、お前……クリスとやってないだろうな?』
『クリスとSEXしてないか、聞いてるんだ』
『クリスは3/4英国人だし、まだ細いけれど背も高い、いいもの持ってるんじゃないのか? 俺のいない間、あいつに満足させて貰えばいいじゃないか?』
『双子、だもんなあ。半分しか血の繋がってない俺なんかより、よっぽど躰の相性、いいんじゃないのか?』