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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第20章          

「放送席では引き続き、棚橋大輔さんにお付き合い頂きます。棚橋さん、男子選手から見ると、クリス選手のジャンプコーチ就任も驚きだったんじゃないでしょうか?」

中村アナウンサーのフリに、棚橋が苦笑いを浮かべる。

「元・男子選手、ですけれどね(笑) もうそりゃあ驚いた、何て物じゃなかったですよ。ですが、今となっては篠宮兄妹にとって これ以上無いタッグだったな、と――」

「どういうことですか?」

「先程、浅田さんも仰っていましたが、ヴィクトリア選手はクリス選手となら跳べる――それって、二人のジャンプの入りのタイミングがシンクロしているからなんですよね。それこそペアとして競技したほうが良いんじゃないか?というぐらいに。双子ならでは、なのか、元コーチのお母様の采配ならでは、なのか」

「なるほど」

棚橋の考察に中村アナが興味深そうに相槌を打つ。

「僕はクリス選手がコーチに就任してから話す機会があったのですが、彼は「自分の4回転の動画を研究し、それを妹のジャンプに落とし込んでいる」と言っていました」

「え……? 男子の世界王者と全く同じに――ですか?」

「はい、ヴィクトリア選手は女子ですが、男子顔負けのトップスピード、飛距離を誇っているので出来る事なのだと思いますが。そして妹を指導するに当たり、クリス選手も己を振り返る事にもなりますよね。今まで感覚に頼っていた部分を、理論立てて数値化・可視化することで、自分のジャンプの精度を磨くことにも繋がってきている、と」

わずかワンシーズン、しかも五輪シーズンに4回転に挑戦し始めた双子を「無謀すぎる」「共倒れになるのでは?」と案じ、又は批判する世論がある中、

日本男子を世界レベルまで引き上げてきた張本人の棚橋が そう後押しした事は、直後のネットニュースや翌日のスポーツ番組を盛り上げる結果となり。

納得の表情で頷き合う男二人の目の前で、ようやく本日のメインの双子プログラムの始まりがコールされた。

双子共の功績を讃える場内アナウンスは、期待を抑えきれない観客の大音量の歓声にかき消されるが。

非常灯を残し全ての光を落とした暗転の中、波のせせらぎが微かに届き始めると、一瞬にして皆が静寂を創り出した。

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