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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第21章 .

8月の半ば。

2週に渡って行われた双子のショー・Twinkle ICE In ロンドン&エディンバラは、大盛況にてフィナーレを迎え。

10日の間 双子や両家の親族と過ごし、例年通り英国の夏を満喫した両親は日本へと帰国していった。

そうして迎えた、9月20日(土)

先に行われた卒業試験を見事 最上位の評価でパスしたヴィヴィは、二年の歳月を学問にのめり込ませてくれたオックスフォード大学・PPE学部を卒業した。

二人の為にクリスが選んでくれた、素晴らしいカレッジ――セント・エドモンド・ホール。

チュートリアル(個別指導)というお金も手間もかかる贅沢な教育法で自分を鍛え、社会へ羽ばたく手がかりを与えてくれた。

このカレッジ出身であることは間違いなく、これからのヴィヴィの一生の誇りとなるだろう。

そして、清々しい秋晴れのこの日から、双子の兄のクリスは博士課程を1年履修した時点で休学する事となった。

全ては来年の二月に控える五輪に全精力を注ぐため――だ。

これまで勉学に費やしていた時間が、丸々フィギュアにかけられる時間となり、双子は家でも外でも常に行動を共にする事となった。

産まれてからこのかた東大を休学するまでの20数年、双子は “その状態” にあった筈なのだが、

約三年ぶりに訪れた四六時中 一緒に過ごす二人の時間は、兄妹として、個々の男女フィギュア選手として、更には選手とそのジャンプコーチとして、いささか――いや、過分に濃密過ぎたのかもしれない。

「ここ、は……?」

「う~~ん、ちょっと、痛いかな?」

双子の兄からの問いに、サンルームのマットの上にうつ伏せに寝そべった妹は、小さな頭の中で逡巡しながら指圧の具合を伝える。

「じゃあ……、こっちも、ダルかったりする……?」

「え? あ、うん、そう。……良く分かるね?」

先に圧されたのは肩甲骨あたりだったのに、そことは無関係な腰骨の窪みを確かめられ、ヴィヴィはきょとんとする。

「そうか……じゃあ、フリップ・ジャンプは ひねりを抑えて、ほんの少し軸を締めるようにしてみるかな……」

そう呟きながらスマホのメモに書き留めるクリスを、うつ伏せのヴィヴィは肘枕の状態から見上げる

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