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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第21章 .
「すごいなあ、クリスは」
「ん……?」
「私の事、何でも分かっちゃうんだなあって」
朝起きてきた表情を見るだけで、睡眠の質を。
食事の採り方だけで、フィジカルの状態を。
日課としているピアノやヴァイオリンの音を聴くだけで、本人の預かり知らぬところで いつの間にか降り積もる、不安や焦燥を。
それら総てを瞬時に見抜き、見事にフォローしてくれてしまうのだ、我らがジャンプコーチのクリス、は。
まあ、読んでいる書物の内容まで朝比奈を通じチェックしていると判明した時は、いささか気持ち悪――いや、少々驚いたが。
「ああ……。ヴィヴィも触ってみれば、僕の身体のこと、解かると思うけれど……?」
さも当然の事のように言われると、ヴィヴィの好奇心が疼きだす。
「え、そうかな? やってみてもいい?」
「どうぞ……」
妹が退いたマットにうつ伏せに寝そべった兄は、肺から絞り出すように息を吐き出すと目蓋を閉じた。
身長180cmを優に超えるクリスが寝そべると更に大きく見え、何故か少しだけ触れるのに躊躇したヴィヴィ。
とはいえ引き締まり無駄一つ無い兄の肢体を見下ろした妹は、薄い唇を何故か「にやあ」と歪ませた。
「ふっふっふっ おぬし、引っかかったな!」
そう不吉に呟いたヴィヴィは、有無を言わさぬ勢いでクリスの引き締まった臀部に圧し掛かる
「ちょっ え……?」
珍しく驚きの声を上げるクリスに対し、妹は自身の尻で直接感じた兄の尻の “プリけつ” ならぬ “ブリけつ(ブリン!としているw)” ぶりに妙に感心しつつ、悪巧みの表情も全開に口を開く。
「このヴィヴィ様はね~~、いつもいつも手ぐすね引いて待っていたんですよっ 鬼コーチの弱点を暴いて、この溜りに溜まった鬱憤を解消してやろうとね!」