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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第21章 .
「『La vie en rose』――この曲を滑りながら、ヴィーが “俺との薔薇色の恋” に想いを馳せてくれているのだと思うと、君の演技にうっとりしながらも、ついつい下半身に両手が――」
“自分の滑走を観つつ、その画面の前で息子を慰めている男の姿” を瞬時に妄想してしまったヴィヴィはというと、
「~~~っ!? バっ ばっかじゃないのっ!!!」
腹の底から軽蔑の言葉を叫びつつ、未だ顎に指を添えている男の胸を こてれでもかと両手で突き飛ばした。
(きっ キモ……っ!!!)
冗談だろうと判ってはいても かつて無いほどドン引きしたヴィヴィが、その小さな顔を引き攣らせていると、いつの間にか戸口に立っていたらしいクリスから盛大な溜め息がもたらされる。
「ヴィヴィ……、君の “男を見る目” って……」
「クリス……っ!? ど、どうして私をそんな目で見るのぉ~~っ! このド変態王子ならともかくっ!!」
途轍もなく哀れな瞳で目の前の男女を見比べてくるクリスに、ヴィヴィはというと昼寝前よりも疲れの滲んだ表情を浮かべ、そう泣き言を並べたのだった。