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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第21章 .
常とは違うインタビューの雰囲気に、いち早く気付いた双子の女子マネージャーが、後ろから止めに入ろうとしたが。
一瞬眉根を寄せたヴィヴィは、静かに彼女を制し下がらせる。
「亡くなられた選手には、追悼の意を表します。理由は何であれ、同じスケートの道を志している者として、とても残念で哀しくてなりません――」
逡巡の上にそう答えたヴィヴィはそこで区切ると、気持ちを切り替えるように華奢な肩を少し下げて見えた。
「シニア大会への年齢制限、SPの4回転導入の是非については、私はアスリートのフィジカルやメンタルケアについて研究していないので、申し訳ないですが持論を展開するのは避けたいと思います。それらを専門的に研究されている方や、実際に選手と向き合い続けている関係者等で検討の場を持ち “選手達にとって良い方向” に決着して貰えればと思っています」
そうインタビュアーに卒なく答えたヴィヴィは、軽く黙礼すると次の記者の所へと歩みだした。
そこでVTRが終わり、番組セットへと映像が切り替わる。
途端に広いフロアには怒号が響き渡った。
『喝~~~っ!!!』
張のその叫びに、上原も追随する。
『ほんと、喝・喝・喝ですよ! 何でこの質問を当事者の選手にぶつける訳? どこの国の記者ですか? ほんとありえない』
怒りを露わにする二人に、アナウンサーが冷静に状況を説明する。
『こちらのインタビューが主にネット上で波紋を呼び、日本のみならず世界中で取り上げられておりまして。本日の早朝、日本スケート連盟は当該テレビ局に対し抗議声明を発表するに至りました』
『そりゃそうだよ、スケート連盟は外野から選手を守ってあげないと』と、張。
『五輪シーズンで選手はとてもナーバスになっています。周りの関係者達は、選手が競技に集中できる環境作りを徹底しないとなりませんね』と、上腹。
二人の意見に深く頷く関田を、アナウンサーが代弁するようにコーナーを締めくくる。
『当番組でも、続報に注目していきたいと思います。では、次のニュースです。先日、菅内閣が――』