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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第21章 .

そして、ステップからの3回転ルッツ+3回転ループを畳み掛ければ衣装の裾が翻り、その度に “火祭りの儀式” の炎は亡霊を焼き尽くさん――と、あえかに燃え盛る。

「ジャンプはこれで最後――3回転フリップからの3連続!」

3回転フリップ+1回転オイラー+3回転サルコウ。

3回転2つとも両手を挙げて降りたヴィヴィに、アナウンサーも観客も吠えるように沸いた。

炎の揺らめきの様に、激しさと閑寂の間を移ろう曲に乗せ、ステップシークエンスを踏み始める。

亡霊を葬るために唱えられる呪文。

激しさを増し、万物を昇華させんとする炎。

そして、物語の終結に向け加速していく舞曲。

ステップを半分踏み終えた痩躯が、亡霊に細腰を絡め捕られ後ずさり。

思わず両腕を前に伸ばし、誰かに救いを求めようとするが。

だが はっとして首を振ったヴィヴィは、渾身の力で己の腰に纏わりついたそれを引き剥がし、残りのステップを懸命に畳み掛けていく。

金管楽器が小気味良く刻むフィナーレ。

これでもかと畳み掛けられる、弦楽器の上昇音階。

そして、15小節にも渡りオーケストラ全体で刻まれる、厚みのあるE音。

それに乗せ、腹の前で両腕をクロスしたヴィヴィは、右、左と腕を開き、頭上で再び両腕をクロスし。

右足をカッと蹴り上げながらターンすると、右腕をグルグルと振り回したのち、額に添えた左腕を押え。

そのまま後ろに大きく反りながら、重低音と共にフィニッシュした。


一瞬の静寂ののち、広大な会場を埋め尽くしていた観客が総立ちになり、歓声と拍手は大きな渦を作り上げた。

発する言葉を忘れ静寂の降りた実況席。

数秒後、口を開いたのは解説の荒河だった。

「いやぁ……。もうすごい、本当に凄い……。ただひたすら「凄い」という言葉しか出てこないですね……」

「……――っ」

「ちょ……、清水さん、涙ぐんでるじゃないですか!」

「……っ も、ほんと、すみません……っ いやぁ……、何と言いますか……。人間って、努力次第で、ここまで進化出来るんだなっと思いまして」

実況アナウンサーらしからぬ鼻声に、荒河が抑えられず「あはは!」と笑う。


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