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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 ヴィヴィはいつもロンドンまで移動し、そこから飛行機で移動しているが、

 確か400マイル近く あるのではなかったろうか?

 車ではそれこそ、6~7時間は掛かる筈。

 それも夜中に、たった1人で運転するなんて、ヴィヴィからしたら自殺行為にさえ思えて。

「き、危険だよっ」

 思わず兄を振り仰いだヴィヴィ。

 けれど、視線が合ってすぐ、

 まるで火傷したみたいに、すぐに俯いてしまった。

「大丈夫、途中休憩しながら来たから、こっちには朝の4時位についた」

 ふっと笑った吐息に続いたのは、妹を安心させようとする柔らかな声音で。

 灰色の瞳が戸惑いがちに、自分の小さな膝頭を前にして揺れていた。

(私に会いに来る……ただ、それだけの為に……、

 夜中の間中、ずっと運転して、飛んで来てくれたの……?)
 
 一瞬、どきりとしたヴィヴィ。

 しかし、すぐに胸の中で首を捻った。

 確か、エディンバラ発の始発便は、8時にはロンドンに到着した筈で。

 空港からオックスフォードまで、車で1時間半ほど。

 つまり――飛行機で来たとしても、10時前には辿り着けるのだ。

 なのに、匠海はどうして早朝便を待たずに、わざわざ車を飛ばしてここまで来たのだろうか――?

 というか、本当にここは何処なのだろう?

 この時になって初めて、ヴィヴィは辺りに視線を彷徨わした。

 温かみのある白漆喰の壁が広がるそこは、天井が三角に尖っており。

 オフホワイトと焦茶のインテリアが印象的なリビングルームに、その先に続くダイニングにキッチン。

 半分だけウッドブラインドを降ろしたリビングの外には、広いウッドデッキがあり、

 そしてその先――目に飛び込んできたのは、一面に広がる水辺。
 
 池にしては対岸までの距離が離れており。

 川にしては流れがないから、湖だろうか?


――――――――
※エディンバラ ~ オックスフォード間は、約367マイル(590.6 km)
 東京駅 ~ 兵庫県姫路市 591km に相当
 作者は旦那様と交代でその手前の京都まで運転し、本気で死にそうになった☠
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