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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

「馬鹿……。絶対に、絶対に自殺なんてさせてやらない」

 兄のその言葉には、一片の曇りも無かった。

 しかし、相対する大きな瞳も揺るぎ無くて。

 額を合わせたまま、小さく首を振る妹に、

「死を選ぶくらいなら、俺を選んでくれ、ヴィクトリアっ」

 そんな匠海の必死の懇願から目を背けるように、

 ヴィヴィはゆっくりと目蓋を閉じ、視界を遮断した。

「はやく……、ヴィヴィに おにいちゃん、ちょうだい……?」

 添えられた大きな掌に、拗ねた様に頬を押し付ければ、

「そうだな。ヴィクトリアを俺に夢中にさせないとな」

 ふっと苦笑した唇を、白いおでこに押し付けた匠海は、

 拘束したままの両腕の間に、自分の黒い頭を差し込んできて。

「も、逃げない……よ……?」

 自分も匠海に触れたいし、抱き締めたいし、沢山縋り付きたい。

 そう思って発したのに、

「駄目。ヴィクトリアはこのままで」

 何故か拘束を解く気は全く無いらしい兄は、ゆっくりと妹の躰を開いていった。

 中は確実に潤っているのに、

 久しぶりだからか、匠海の太さに中々馴染まなくて。
 
 綻んだ膣口に、ぐっと大きな亀頭を捻じ込んだ兄は、

「はぁ……、キツイっ」

 少し苦しそうな声を零しながら、浅いところでゆるゆると抜き差しを繰り返す。

「苦しい? ヴィクトリア、大丈夫か?」

 心配そうに上から覗き込んでくる匠海に、目蓋を上げたヴィヴィは、こくりと頷いてみせる。

 本当はちょっと苦しくて。

 兄に悟られないように微かに息を吐き出して、りきみを解き、

 少しでも早く、兄の形に馴染んで欲しいと待ち侘びていた。

「んんっ ……っ ふ、ぁ……ん」

 めりめりと開かれていく音が聞こえそうなほど、ヴィヴィの膣内は狭かった。

 それはまるで、この1年半という長い刻を、

 匠海だけを待ち望んで、頑なに口を閉ざし続けた貝のようで。

(やっぱり、私には……。お兄ちゃんしか、いないんだ……)

 心だけじゃなくて、躰もそう主張しているかに思えて、

 そんな事にさえ喜びを覚えた。

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