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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

「……っ ひっく……っ ぅ~~~っ」

 両手の自由を奪われたままのヴィヴィは、兄の胸に必死に額を擦り付けた。

 細い咽喉から幾つもの嗚咽が漏れ落ち、もう目の前の匠海に縋り付く事しか出来なかった。

「大丈夫……。大丈夫だよ。悪いのは全て俺なんだから」

 妹の尋常じゃない様子に、兄はその上半身を抱き起すと、

 胡坐をかいた腰の上に乗せ、華奢な躰を更にきつく抱き寄せる。

「お前は何も悪くない。ヴィクトリアの心も躰も綺麗だし、可愛いままだよ」

 激しく泣きじゃくるヴィヴィを、匠海はずっと優しく諭し、抱いて慰めてくれていた。

「ごめん。ヴィクトリア……ごめん。

 でも、俺はお前だけを愛しているんだ。

 それだけは信じて欲しい――」





 それから10分程経ち。

 ようやく泣き止んだヴィヴィは、泣き疲れてぐったりと匠海に寄り掛かっていた。

 男からしたら、拷問の10分間だったと思う。

 何せ、号泣は全身の筋肉を使うもので、

 しゃくり上げる度にじわじわ分身は締め上げられるし。
 
 当のヴィヴィは「おにいちゃん、おにぃちゃん……っ」と連呼して泣いているし。

 先刻まで「嫌」と「駄目」を連呼していた妹が、

 薄いけれど柔らかな躰で、これでもかと縋り付いてくるのだから。

 そんな拷問にも歯を食い縛って(?)耐えた匠海は、

 妹の赤くなった鼻にティッシュを押し当て、鼻を噛ませ。

 ぐっしょり濡れてしまった顔も、嫌な顔一つせず、優しく拭き取ってくれた。

「……ご、めん……なさ、ぃ……」

「いいや。泣き止んでくれて良かった」

 まさか自分が、兄の前でこんなに号泣してしまうとは。

 でもそれだけの時間が経てば、もう充分過ぎるほど、ヴィヴィの蜜壺は兄の太さに馴染んでいた。

「……入って、る……」

 恥ずかしそうに瞳を伏せたヴィヴィに、

「ああ。もう苦しくないか?」

 バスローブを肩から引っ掛けた上から、匠海の大きな掌が、細い背中と腰を撫でていた。

「うん。……お、おっきい……けどっ」

 意識すればするほど、ずっぷりと最奥近くまで銜え込まされたその逞しさに、腰が震え始めて。

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