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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

「凄く長い間、イっちゃったな?」

「……っ や、言っちゃ……」

 やはり中にいる匠海には、モロに伝わっていたらしく。

「俺も凄く気持ち良かった」

 達しなかったみたいだが、兄の瞳がうっとりと細められているのを見て、

「……よ、良かった……」

 ヴィヴィはほっとしながらも、やはり恥ずかしくて。

 瞳を反らそうとした妹を、兄は羽毛布団の上から抱き上げた。

「ほら、今度は上に乗って、俺のこと、沢山味わってごらん?」

 自分の首に掛けていた妹の両手首を抜き取ると、

 兄は腰の上のヴィヴィと繋がったまま、ベッドへと寝そべってしまった。

「う、うん……」

「ん? 動けないか?」

 久しぶりのセックスで、疲れたかと尋ねてきた匠海に、

「ううん。えっと……、お兄ちゃん、その……気持ち、良い?」

 ヴィヴィは恐るおそる、そう確認する。

「物凄くね。どうして?」

「えっと……、そ、の……」 

 何故か言いあぐねるヴィヴィに、匠海は悟ってにやりと嗤った。

「ああ、俺がイかないから? それはね。やっとヴィクトリアと愛しあえるのに、俺だけすぐに達しちゃったら恥ずかしいし悔しいだろう? だから、長持ちするように、事前に自分で――」

「い、言わなくていいっ!!」

 ペラペラと男の裏事情を語る匠海に、ヴィヴィは驚嘆して止めさせた。

「そう?」

 面白そうに見上げてくる匠海に、ヴィヴィは「相変わらず困った人」と心の中で突っ込み。

 ふと視線を落とした先、まだ紐で結わえられたままの両腕の下、繋がった互いのそこが目に入り。

(あ……れ……?)

 以前とは違う違和感を覚えたヴィヴィ。

(もじゃ男サン……)

 一瞬心の中でそう呼びながら、上から見下ろす形となった匠海の上半身に瞳を移す。

 脚の付け根に向かって浮き出た腹斜筋がセクシーで、じくりと胸が疼く。

 先程まで縋り付いていた胸筋は、横たわると少し平らになって、なんか可愛らしくて。

 自分の腰を支えてくれる大きな掌は、暖かくて心地良くて。

 そして、うっとりと自分を見上げている、どこか夢見心地の兄の表情は、

 会えなかった1年半という時を、充実して過ごして来たんだろうなと解かる、

 27歳にしては自身の漲った、精悍な顔付きだった。

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