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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章
夕闇の時刻まで もう少しという、19時を過ぎた頃。
焦茶の支柱が印象的なベッドの上、
ヴィヴィは何故か、両の手首を拘束されたままだった。
「ほら、次はズッキーニ」
匠海はというと、股の間に横抱きした妹に構いたくて仕方が無いらしく。
いつの間に用意したのか、ディナーを手ずから食べさせてくる。
削りたて黒コショウのスパイシーな香りに引き寄せられ、薄い唇をおずおずと開くと、
輪切りにしてオーブン焼きされたそれが、口の中に放り込まれて。
大人しく、もぎゅもぎゅごっくんした妹に対し、覗き込む兄は、
まるで “珍獣に餌を与える飼い主” 状態で、心底 面白そうだった。
(……カメレオンにバッタあげてる飼い主の気分、なのかも……)
「オリーヴオイルが……」
薄紅色のそこから少し垂れたものを、匠海が舐め取ろうと顔を寄せて来るが。
ヴィヴィはその目の前で、自分でぺろりと舐め取ってしまった。
「あぁ……、残念……」
どこまで本気なのか、兄は広い肩を落とし。
けれど、飽く事無く「今度はステーキだ」と、妹好みのレアに焼いた肉を口に放り込んでくる。
酸味のあるさっぱりしたソースと合うな、と呑気に思いながらも、やはり懇願せずにはいられない。
「自分で食べれるから、解いて」――と。
だというのに匠海は、
「何度言われても、嫌なものはイヤ」
先程から同じ返事を繰り返すばかりで。
仕舞いには「全部食べられたら、解いてあげてもいいよ」と訳の分からない事を言い出す始末。
(いやいや。結局 解くなら、今 解けばいいんじゃ……? やっぱり宇宙人だ、意味不明……)
小さな顔にげんなりした表情を浮かべながらも、兄との性行為で腹ペコだったヴィヴィ。
言われるままに口を開き、与えられるものを咀嚼していたが。
その金色の頭の中では、
(お兄ちゃんの皮を剥いだ中にいるのが、リトル・グリーン・メン(◉◉◉)だったらいいなぁ……)
と、某アニメ映画の宇宙人キャラクターを、
自分を横抱きして楽しそうな、匠海の顔に投影していたのだった。