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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章
自分は、異性は匠海しか知らなくて。
16歳からずっと兄だけに抱かれ、
そして性行為後は、ほとんどの場合 匠海にお風呂に入れて貰っていた。
つまり、
ヴィヴィにとってのセックスとは、行為後のお風呂もセットでセックスであって――
小さな頭の中で、そう長々と言い訳し続けていた妹を、
「ふ……。ほら、おいで、甘えん坊のベーベちゃん」
兄はそんな からかいの言葉で誘惑してきた。
「……ちがう、もん……」
可愛くない呟きを零しながらも、大人しく逞しい腕に抱き上げられ。
ベッドルームの奥にある、バスルームへと連れて行かれたヴィヴィは、
そこでやっと、ローブの紐で結わえられていた拘束を解かれた。
約10時間ぶりに両手の自由を得て、ほっと息を吐いたヴィヴィ。
そんな妹の肩に引っ掛かったままだった、オフホワイトのバスローブを脱がせた兄は、
手首を軽く握っていた妹に気付き、
「ああ、悪い。俺のせいで、ヴィクトリアの白い肌に、痕を残させたね」
何故か申し訳無さそうに、眉を顰めて謝罪してきた。
「……え……?」
細い咽喉から零れた疑問の声。
ヴィヴィは無意識に擦っていた両の手首を見直すが、
それは匠海に拘束される前と全く同じで、赤く残った痕は、濃くも酷くもなっていなかった。
「おいで、ヴィクトリア」
先にバスタブに溜めた湯に入った匠海が、妹に向かって片手を差し出す。
恐るおそる傍に寄ったヴィヴィは、兄に導かれるまま向かい合う形で暖かな湯に浸かった。
途端に林檎の瑞々しい香りに包まれ、少し強張っていた頬が自然と緩む。
風呂上り、兄も同じくこんな可愛らしい香りを纏うのかという、ちょっとしたからかいと、
これで、自分に残っていた匠海だけの香りが跡形も無くなったという、喪失感。
「………………」