この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 自分という存在が、匠海の全てを狂わせている。

 血脈という、

 紛れもない強固な絆で繋がった “妹”。
  
 生まれ落ちたその瞬間から、

 兄だけを一心不乱に見つめ続けてきた少女。
 
 今や匠海によって躾けられた、

 彼の好み通りに快楽に従順に開く躰。
 
 極め付けは、

 何をされても、

 どんなに裏切られても、
 
 それでも、

 匠海を突き放せない、自分の弱い心――



 ウッドデッキの隅に立ち、ようやく水辺の際が闇夜に解る。

 2mほど延びる芝生の先、

 丈の長い雑草の黒い影の間から、ちらちらと湖面が光り、

 自分を呼んでいた。
 


 私は生まれながらの、

 匠海の “執着” の対象であり、
 
 兄が絶対に手を出してはならなかった、

 ファム・ファタール。

 なのに、その自分を、

 兄の顎を力任せに押し広げ、

 強引に口内に捻じ込み、

 咀嚼させ、味あわせたのは、
 
 紛れもない、自分自身――


 だから、

 自分さえいなくなれば、

 何もかもが “元通り” になる――


 
 バスローブから伸びた生白い脚が、

 黒一色の芝生の上へと、降りんとする瞬間、

 華奢なその腰は、後ろから逞しい腕に抱き留められていた。

 空を切っただけの足の裏が、またウッドデッキの冷たさを捉え。

 背に触れる暖かな感触に、小さな顔が哀しみに沈む。

「ああ、悪い子だね、ヴィクトリア……」

 耳に押し付けられた唇から吹き込まれる、少し低めの声に、

 薄い唇が、異様なほど落ち着いた声を返した。

「……離して……」

 けれど、

「こんなに動ける体力が残っていたとは、

 正直、ヴィクトリアを見くびっていたよ」

 返ってきた返事に、細い咽喉の奥がひゅっと息を吸い込み、

「お願いっ もう……、もう、死なせて……っ!!」

 擦れたその叫びは、ヴィヴィの無我夢中の懇願だった。

 もう何度、自分は死に損なったろう――?

 兄の人形となろうとして、望まれぬ事を知った時。

 兄の裏切りを知り、葉山の海に入った時。

 他の男に穢された時。

 死に損ない、双子の兄の部屋で首を吊ろうとした時。

 そして、今――この時。



―――――――――
※ファム・ファタール:男を破滅させる魔性の悪女、運命の女

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ