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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 “ちょっとだけ”

 確かに兄は、そう言ったのに。

 深くまで兄を受け入れ、必死に窓ガラスに縋り付くヴィヴィの、その華奢な背を覆うバスローブの上。

 爪を立てた指先で、ぐりりと強く、背骨を上から辿られて。

「ひぃっ!? ふぁ……っ ひぅ、んぅ~~……っ」

 厚いタオル地越し、背骨の繋ぎ目に爪が食い込む度に、びくびくと戦慄く躰は、無意識に兄を喰い絞め。

 頚椎、胸椎、腰椎……と来て、残り仙椎、尾椎を残したところで、

「いっ ひゃぅうんっ ……っ い、イっちゃ……っ ~~~~っっ」

 切羽詰まった嬌声を上げ、ヴィヴィの躰は絶頂を見た。

(お兄、ちゃんの……。

 お兄ちゃんの、すべすべしたので、

 ヴィヴィ、イっちゃった……っ)

 甘い痙攣を繰り返す蜜壺は、何の隔たりも無く、薄い皮膚の下にある兄の硬さを貪欲に味わっていた。

 そして、束の間の天国から降りて来たヴィヴィの背中は、

 ぐったりと力なく、兄に貫かれたまま下へと落ち窪んだ。

「は、ぁ……っ 堪らない、ヴィクトリア」

 ぶるりと胴を震わせた兄が、今やほとんど何の役にも立っていない妹の両手を、脇の下から入れた両腕で絡め捕る。

「ひゃう!? ふぁ……っ ぁ、や、め……っ」

 ずぐりと最奥まで捻じ込まれると、

 まるで串刺しにでもされている気分だった。

 兄が貫いてくるその先端が、腹を突き破り、咽喉を突き抜け、

 あまりの質量に閉じることさえ叶わぬ口から、 

 匠海の分身が押し出されてくる錯覚に囚われる。

 つい先程は天国へと導いてくれたそれに、恐怖さえ覚え始めた頃、

「次回、ちゃんとピルを飲んでいる時に、

 お前の大好きな “ここ” に、たっぷり注いであげようね」
 
 禁断の奥の口を、血の繋がった兄の熱いもので濡らされる――。

 躰に染み付いた記憶を呼び起こさせる、匠海との深い交わりに、

 ヴィヴィは快感を通り越し、息苦しくて、

「ぉ……、にぃ……っ ゃ、うぅっ」

 カラカラになった咽喉の奥から、必死に声を絞り出す。

「ああ、……ごめん。苦しかったな?」

 そう非を認めた匠海は、驚くほどあっさりと陰茎を抜き取った。

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