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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 たぶん、何時間かは うとうとして。

 ぼけ~としながら、何だか忘れたがランチを採らされ。

 それからまた匠海に悪戯されて、ギブアップして気を失い。

 そんなこんなで、次に意識がはっきりした頃。

 ヴィヴィは何故かベッドの上で、匠海に苺を食べさせられていた。

「ほら、あ~んしてごらん?」

「……自分で食べれます……」

 大きな苺で唇を突いてくる兄に、ヴィヴィはまた(-_-)な顔に戻っていた。

 もうこのまま、一生この顔で生きて行くのかも知れない。

 (-_-)の顔で試合で滑ったら、果たして減点されるだろうか?

「え~~、頼むよ」

「……嫌です……」

 甘えた声音でこめかみにキスを落としてくる兄が、今はちょっとうっとおしかった。

「ヴィクトリアの真珠みたいな白い歯が、赤い苺にかぷって噛み付いてるところ、見たい」

「……変態……」

 もうそれ以外何も言葉が思い浮かばず、ヴィヴィは羽毛布団で隠した胸の中で、

 「か~み~さ~ま~」と架空の人物(?)に救いを求めて縋っていた。

「ほら、さっき洗いながら味見したら、甘くて美味しかったぞ?」

「………………」

 まあ確かに、真っ赤な苺は美味しそうだし。

 色々あって、咽喉は渇いている訳で。
 
 遠慮がちに先っぽに噛み付いたヴィヴィ。

「良い子だね」

 苺を食べたくらいで、そんな事を言われ。

「……甘い……」

 当惑しながらもぽそっと零した感想に、兄は「な?」と相槌を打つと、妹の食べかけを食べてしまった。

「ほら」

 その後も次から次へと、ヴィヴィに苺を与えてくる匠海は、

 何故か妹には、先っぽの赤いところしか食べさせず。

「ど、して……?」

 視線で食べかけ苺を追いながら、おずおずと問うてみれば、

「ん? 一番美味しいところ、あげたかった」

 そんな甘々なお返事が返って来た。

「………………」

 どんなリアクションをすればいいのか分からず、とりあえず無表情に落ち着いていると。

「じゃあ、苺の美味しいところを食べさせてあげたんだから、俺にもヴィクトリアを食べさせて貰わないとな?」

 そんな匠海らしい “オチ” がついて。

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