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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第1章
6月29日(木)、ロンドン・ヒースロー空港を11:30に発ち、
その翌日、30日(金)7:20に羽田空港に着いた双子は、国内線を乗り継ぎ。
その日は大阪にて、番宣番組に出演した
翌 7月1日(土)には、新幹線で名古屋に移動し、そこでもまた番宣番組に出演していた。
そうして迎えた、7月2日(日)。
双子は仙台にて行われている、結婚式の披露宴会場にいた。
もちろん、我らの偉大なる先輩――羽生(はぶ) 結弦の結婚式だ。
「クリス、クリス」
先程まで他の招待客と同様、披露宴会場でコース料理を頂きながら歓談していたヴィヴィは、
今はバンケットホールの外で、隣に立つクリスに呼び掛ける。
「ん……?」
黒のハットを掌の中で弄んでいたクリスが、常よりは高い位置にある妹の顔を見下ろしてくる。
「あのね? 私の事 “超 色っぽい女” と思ってくれない?」
「……は……?」
いきなり何を言い出すんだと、目の前のクリスは灰色の瞳を丸くしたが、ヴィヴィは引かずに主張する。
「む、無茶言ってる事は、重々承知だよ? でもほら、私もクリスの事 “超絶エロい色男” って思って踊るから、ね?」
(だって、双子の兄妹で踊ってるからか、いつになってもアルゼンチン・タンゴの色気、出て来ないんだもの……)
妹の言わんとする事を把握した兄は、美しく化粧を施された小さな顔を見下ろしながら頷く。
「うん……。じゃあヴィヴィは “小悪魔でセクシーで、男なら誰をも魅了する女性” って思って踊るよ」
甘く囁かれながら、剥き出しの背中を撫でられたヴィヴィは、
「お、お願いシマス……」
そう どもりながら赤いドレスの胸元を見下ろし、何とも情けない表情を浮かべたのだった。
(ど、どうせ、セクシーとは縁遠いさ……。とほほ……)