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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章
匠海のその言葉に、ヴィヴィは迷い無く首肯する。
「当然だよ。グランマを責めるなんて、これっぽっちも思ってなかった。本人にもちゃんと言うよ」
「ああ、良い子だ」
そう当たり前の事で褒めた匠海は、妹の手を引いて、リビングのオフホワイトのソファーへと導いた。
「いいかい、ヴィクトリア」
「………………?」
ソファーに浅く腰掛けたヴィヴィは、目の前に膝を着いた兄を、不思議そうに見上げる。
「お前がオックスフォードの屋敷で見たのは “俺” だ」
「……え……?」
一瞬何を言われたのか、理解出来なかった。
「俺はヴィクトリアが相手してくれなくて淋しくて、お前の下着で自分を慰めてた」
「……――っ」
兄のその言葉に、小さな頭の中に ぱっと悪夢がフラッシュバックしたが、
それも一瞬の事。
自分の頬を大切そうに包んでくれた匠海の掌の暖かさに、すぐに現実に引き戻される。
「驚いて逃げようとしたヴィクトリアを、俺は力ずくで抱こうとしたんだ」
「……おにい、ちゃん……?」
真っ直ぐに射抜いてくる灰色の瞳に、受け止めるほうのヴィヴィの瞳は戸惑いがちに揺れ。
「だから、お前は俺にしか触れられていないし、俺にしか抱かれていない」
「お兄ちゃん、だけ……?」
そう復唱した妹に、兄はしっかりと頷いて見せる。
「そうだよ。お前は俺以外の男を知らない。だって、ヴィクトリアは、俺しか愛していないんだからね」
「………………」
匠海が自分に言い聞かせたい事と、その想いが解っても、
ヴィヴィは何故か、素直に頷く事が出来なかった。
だから、
「オックスフォードに戻れるね?」
兄のその最終確認にも、すぐに首を横へと振ってしまった。
「ん? もう1泊するか?」
妹の忌まわしい記憶を上塗りするには、2泊では足りなかったかと、匠海は譲歩してくるが。
ヴィヴィは身体の横に垂らしていた両腕を伸ばすと、兄の黒髪に這わせ。
そして、匠海の頭を自分へと引き寄せると、何故かぺろぺろと咽喉仏を舐め始めた。