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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章
2日前。
ここに連れて来られてすぐ、ヴィヴィは、
『冥途の土産に、お兄ちゃんの咽喉仏を!』
と、うそぶいていたが。
本当に、男の色香満載のそこに むしゃぶり付きたいと、ずっとずっと思っていたのだ。
「ん……? ふ、くすぐったいよ、ヴィクトリア」
匠海のその笑い声をも、堪能していたヴィヴィだったが、
しばらく兄だけの味を味わっておきながら、離れた途端。
「足りない……」
そう、不服そうに零していた。
「ヴィクトリア?」
心配そうに覗き込んでくる匠海を、ヴィヴィは自分が腰掛けているソファーへと引っ張って座らせ。
そして自分はソファーから降りると、兄の長い脚の間に、するりと身を滑り込ませた。
バスローブから覗く両の太ももに手を置いたヴィヴィは、ずいぶんと上にある匠海の顔を振り仰ぐ。
「舐めたい……」
「……駄目だよ」
兄が妹の口淫を躊躇するのは、昔から変わらなくて。
「お願い……っ」
片方の太ももにすりすり頬ずりしながら、ヴィヴィは苦しそうに懇願する。
「ヴィクトリア?」
妹の尋常でない行動に、見下ろしてくる匠海が困惑の表情を浮かべていた。
「……お兄ちゃんのだけ、に、したい……」
自分の中に残る男の味。
それはこの命が尽きるまで、目の前の匠海以外、覚えていたくはないのだ。
「……――っ」
兄が はっと息を呑んだのが解った。
きっと、匠海は妹がどんな風に元執事に穢されたのか、事細かには知らなかったのだろう。
当たり前だ。
ヴィヴィは誰にも、あの男から受けた屈辱を口にしてはいなかった。
ただ、駆け付けてくれた婦人科の医師に、
『最後まではされていないから、アフターピルは必要無い』
とは言ったが。
端正な顔をみるみる憎悪に歪めた匠海は、本当に人でも殺しそうな程の殺気を滲ませていたが。
「おにいちゃん……」
ヴィヴィが甘えた声を出せば、すぐにその瞳は柔らかく緩んだ。
「舐めるのは、1分だけだぞ?」
そう囁きながら金の頭を撫でた匠海は、ヴィヴィの膝が痛くないようにと、クッションの上の座らせてくれた。