この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章     

「ヴィヴィ、頼むから、ダッド達と日本へ帰ろう?」

 父のその思いがけぬ要求に、

「え……?」

 「日本へ何しに帰るの?」と、不思議そうに首を捻るヴィヴィ。

「もう ショーンコーチにも、帰国の許可は貰ってあるの。「離れていても出来る限り協力する」って言って下さっているわ」

 母の続けた言葉に、ヴィヴィは更に首を捻る。

「え? な、何で? 私、もうすぐ、ショーあるし……。それにシーズンインまで、もう……」

 25日後には英国で初となる、双子主催のショーが。

 約2ヶ月後には、もうシーズン初戦が迫っていた。

 それでなくても先月は日本に入り浸っていたので、いい加減に本腰を入れてショーンコーチの指導を仰がないと、シャレにならない。

「マム……私……」

 「帰国は出来ない」と断ろうと口を開いたヴィヴィに、ジュリアンはソファーから立ち上がり。

 娘の座るソファーの前へと膝を付くと、膝に置いていた細い両手を、己のそれで包んだ。

「お願い、ヴィヴィ。マムの我が儘を訊いて? 1週間でいいから、日本に帰りましょう? あんただって、この屋敷……、嫌な事を思い出して、辛い想いをするかも知れない」

「ヴィヴィ、私からも頼むよ。少しの間でいい。ダッド達の傍にいて欲しい」

 母と父のその懇願に、ヴィヴィは当惑する。

 確かに、1人娘が強姦未遂にあい、しかも自殺未遂を2回も(正確には3回)したと聞かされれば、

 両親が片時も手離したくないと思うのは、当然といえば当然で。

 そして、本来の旅程であれば、昨日 帰国の途に就く筈だった、両親と匠海に取ってみれば、

 これ以上帰国日を先延ばしして仕事を休み、オックスフォードで娘の傍にいる事も叶わないのだろう。

(……どう、しよう……) 

 一番、冷静に判断が出来そうな人物――クリスの姿を求め、

 ヴィヴィはリビングと続くダイニングに視線を向けるも。

(……あれ……?)

 そう言えば、祖父の説明を聞いている最中も、兄2人の姿は見えなかった。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ