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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章     

 久しぶりに口にした朝比奈お手製の料理は、ことごとく美味しくて。

「えへへ、朝比奈の料理、久しぶりだぁ~~♡」

 にへらと緩んだ表情を浮かべながら、自分達の執事に「ありがとう」を言う。

(まあ……、両親なりに、私を気遣ってくれてるんだよね?)

 ヴィヴィは執事の淹れてくれた緑茶をすすりながら、皆を見渡す。

 両親とダリルは、緩みきった笑顔で、

 見守る朝比奈も、安堵の微笑みを浮かべており。
 
 クリスは……いつも通り、無表情だけれど。

 ここに皆と当たり前に居られる幸福に、知らず知らず口元を緩めたヴィヴィ。

(ありがとう……みんな……)

 素直にお礼を言葉にすべく、薄い唇を開こうとしたが。

「さあ、パパさん。勝負ヨっ!」

「ええ、来なさい。ええ、全力でかかって来なさい!」

 ダリルとグレコリーが恐ろしいゲームを始めたのに、目と口をぽかんと開いてしまった。

 芝生の上に広げられたブランケットの上にあるのは、ガラス製のチェス。

 しかも、ただのチェスではない。

 そのマス目に配されたのは駒ではなく、駒の絵が描かれたショットグラス。

 各々16個のショットグラスに、テキーラをなみなみ注いだ2人は、

 なんと、自分の駒を動かす度に、そのショットグラスを空けていて。

 ライムを齧りつつ、次々テキーラをあおる2人と、

「次、次、私するからねっ」

 そう心底 羨ましそうに、ゲームの成り行きを見守っているジュリアン。

「………………」

(ええと……。私に気遣って、ピクニック……じゃ、ない……?)

 ピクニックのダシに使われた感 満載のヴィヴィは、薄い唇をむににと引き伸ばし、

「クリス、そろそろ行こっか……(-_-)」

「同感……(-_-)」

 お腹が満たされた双子は、全く同じ表情を浮かべながら、立ち上がった。

「あら、もう行くの~~?」

「お、頑張れよ、双子ちゃん」

「え~~、クリス、行っちゃいやンっ」

 押し並べて出来上がっている両親とダリルに、

「騒ぎ過ぎて、警察呼ばれないようにね?」

 そう念を押しつつ別れを告げ、双子はリンクへと戻って行った。




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