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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
が――、
「いやん、グレコリーったら♡」
「ジュリアン、My Sweet Honey また君と離れ離れになるのかと思うと、心臓が張り裂けそうだっ」
「まあ、ダーリン……。じゃあ、帰ったら……、うふふ♡」
自分の目の前、盛大に いちゃいちゃチュッチュ する両親に、
「頼みますから、窓側の席をわたくしめに譲って下さひ……orz」
娘はげんなりした表情で、席替えを懇願したのだった。
8月5日(土)の11:30にロンドンを発った飛行機は、
翌6日(日)の7:20には羽田に降り立ち。
両親と匠海は日曜にも関わらず、その足で職場へ向かってしまった。
1人、篠宮邸へと戻ったヴィヴィ。
1年3ヶ月ぶりに帰宅した1人娘に、屋敷はおもちゃ箱をひっくり返したかのような賑やかさに包まれた。
「お、お嬢様ぁ~~っ」
普段、冷静な家令(使用人の長)が滝のような涙を流し。
朝比奈と同じく、双子を幼い頃から知る五十嵐(匠海の執事)も、安堵の表情を浮かべ。
そして料理長には、飛行機の中で朝食を済ましたにも関わらず、
「お嬢様、朝食! ブレックファースト! なんならブランチ! 用意してますよ~~っ」
そうテンション高めに、帰宅を喜ばれてしまった。
「じゃ、じゃあ、お味噌汁だけ……」
日本のお袋の味(というか、料理長の味)を懐かしんだヴィヴィに、使用人一同が笑いに包まれたのだった。
午前中はゆっくりし、ランチ後 楽器に触れたヴィヴィは、松濤のリンクへと向かった。
1年3ヶ月ぶりに運転する白い愛車、レンジローバー・イヴォーク・プレステージ。
その懐かしい乗り心地にホクホクしながら到着すれば、1歩建物に足を踏み入れた途端、怒られた。
サブコーチと、他のコーチ達に。
「まったく。1年3ヶ月も古巣に顔出さないって、どういうことだ!?」
「しかも、高田馬場のシチズンのリンクを貸切にしてたって事は、近くに滞在してたんでしょうがっ!」
「俺達がどんだけ、昨シーズンのヴィヴィを心配して、ハラハラしてたと思ってる?」