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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
幼児の頃から可愛がってくれているコーチ陣に口々に責められて、ヴィヴィは半泣きで謝り倒したのだった。
「うぅぅ……、本当に申し訳ございませんでしたぁ……(T_T)」
そしてその様子を、少し離れたところで仁王立ちした母ジュリアンが、酷く満足そうに ほくそ笑みながら見つめていたのだった。
『Good Morning ヴィヴィ、東京はどう?』
iPadに写る柿田トレーナーは、元気そうに手を振っていた。
ちなみに日本は16時前だが、英国は まだ朝の8時前だ。
「こっちは Good Afternoon ですよ~。しかも、めちゃくちゃ蒸し暑いですぅ~」
英国は最高気温22℃だが、東京は31℃。
湿度も高いし溶けそうで。
ヴィヴィは正直、とっとと涼しい英国に戻りたくなっていた。
『ははっ だろうね。でもちゃんと食事は摂るんだよ? 身体が資本なんだからね』
「は~~い。あ、さっき、コーチ達に、半端なく怒られました……」
しょぼくれた表情で、Skype越しのトレーナーに愚痴を零せば、
『そりゃそうでしょ。だってクリスは帰国する度に、松濤のリンクに入り浸ってたからねえ?』
まさか電話回線越しにまで、虐められるとは。
「どうせ……。私は、恩知らずですよ、ええ(´・ω・`)」
いじけるヴィヴィを、笑い飛ばした柿田トレーナー。
『それで、メールで送ったフィジカル・トレーニングのメニューは見たかな?』
「あ、はい。ちゃんとサボらず、頑張りまっす!」
ヴィヴィはおでこの前で敬礼し、自主トレを約束した。
『期待してるよ。あ……ちょっと待って』
「………………?」
画面からいなくなったトレーナーに、首を傾げていると、
『ヴィヴィ……。良い子にしてる……?』
そういつも通りの無表情で覗き込んできたのは、双子の兄だった。
「クリス! してるしてる、超良い子にしてるっ」
言っても、まだ日本滞在時間は7時間くらいだが。
『なら良かった……。夏バテしないように、早く帰っておいでね……?』
微かに首を傾げたクリスの様子が、何だか可愛くて。