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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章     

 匠海の言動の不一致に振り回され、その時のヴィヴィは大分混乱していた。

 やはり、

 自分を愛しているというのは、嘘だったのだろうか。
 
 じゃあ、あの2泊3日は、

 “抱きたくもない女を、命を繋ぎ止めるだけに抱いていた” という訳か?

「……馬鹿に、しないで……っ」

 噛み締めた歯の隙間、漏れた苛立ちにさえ神経が逆撫でされる。

 どうして、こんなにもムシャクシャするのだろう。



『命の恩人、感謝、永遠に――』



 自分で「永遠に “匠海のもの” にはならない」と心に決めたのに。

 どうして自分は、望んでいた状態――普通の兄妹として接せられる現実、を素直に喜べないのだろう。

 焦燥と苛立ちが一気に押し寄せ、白濁した湯の中、両の拳が握り締められる。
 


 帰りの遅い夫は「妹に手が掛かってね」と、妻に言い訳するのだろうか?

 今頃、義姉を抱いているのだろうか?
 
 その最中、匠海の脳裏に、自分の記憶が過ぎる事は皆無なのだろうか?

 それとも、

 2泊3日も自分を抱き続けて、




 いい加減、飽きた――?




『俺、どちらかというとグラマーなほうが好きだったんだけど、

 ヴィクトリア抱き始めてから、華奢なほうが好きになったかも』



 かつての兄の睦言が、薄い胸に去来する。



 しょっぱいものばかり食べていたら、甘いものも欲しくなる。

 洋食ばかりに飽きれば、和食が恋しくなる。                                 

 じゃあ、

 和食に飽きたら、

 また、




 私に来る、の――?




「……――っ」

 全身が知覚過敏になったようだった。

 肌という肌が粟立ち、

 高熱を出した時に感じるチクチクした痛覚を、表層に覚えていた。

 ざばりと荒々しく湯から出たヴィヴィは、まるでむきになっている様に、泡を飛ばしながら全身を洗い上げ。

 そして身支度を整えると、3足あるスケート靴から1足を選び。

 また、元いたリンクへと、愛車を走らせ舞い戻って行った。








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