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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
ぐぅ~~~。
豪快な腹の虫が、リンクサイドに鳴り響く19:00。
その腹の主であるヴィヴィは、ひもじさで少々へこたれていた。
「凄い音だな?」
ペアの成田 達樹が、呆れ顔で寄って来れば、
「今日は夕食、遅いんだね?」
苦笑しながら、パートナーの下城 舞も寄って来て。
「ん゛~~。五十嵐、渋滞にでも はまってるのかなあ?」
朝晩は料理長が作ってくれた食事を、執事が持って来てくれているのだが。
いつもなら もう到着し、カフェで料理を温め直してくれている時間。
なのに、五十嵐の姿は見えない上に、あまつさえ連絡も無い。
(カフェで適当にカレーとか食べたら、怒られるんだろうな……。くすん)
何せ運動量が半端無いので、ヴィヴィは空腹になると途端に動けなくなる。
せめてドリンクで腹を満たそうと、氷から降りたヴィヴィは、エッジカバーを付け。
ヨロヨロと自動販売機へと向かおうとした、その時。
「ヴィヴィ。お待たせ」
聞き慣れた自分を呼ぶ声に振り返れば、何故か匠海が立っていた。
「………………」
一瞬、見間違いかと視線を逸らしたヴィヴィ。
けれど、もう一度振り返れば、やはりそこにいたのは上の兄で。
「な……何しに――」
「あっ 匠海さんだ~、こんばんわ~~!」
ヴィヴィの詰問に被さり届いたのは、舞の明るい挨拶の声で。
「こんばんわ。久しぶりだね、舞ちゃん」
昔は匠海もちょくちょく、このリンクを訪れていたので、下城・成田組とも仲が良かった。
懐かしそうに笑いかける匠海に、傍にいた達樹も加わってくる。
「凄い久しぶりっすよね? え~~? もう2年くらいは会ってなかった?」
「達樹君。君達の活躍はテレビで観ているから、俺は会ってる気になってたけれどね?」
当人を差し置き再会を懐かしむ3人に、ヴィヴィはしばらく呆けていたが。
(ん……? 「お待たせ」って、どういう意味……?)
先ほどの兄の言葉が気になりだしたヴィヴィが、紺のサマージャケットの袖を、つんつん引っ張って兄を呼ぶ。