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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
匠海を諦めると決意した時、
ヴィヴィは朝比奈に頼み、贈られた沢山の洋服を処分して貰った。
それこそ、身を切る思いで手放した、自分にとっての宝物だったそれら。
それに、
今の自分にとっては、匠海から貰ったものを目にするだけで苦しくなるのは、想像に難くない。
『解った。じゃあ、後で返してくれればいいよ』
「………………」
『それだったら、贈り物にならないだろう?』
「………………」
無言を貫く妹との埒の無い会話を、兄はこんな言葉で終わらせた。
『ヴィヴィ。待ってるからね』
数秒後に届いたのは、通話が切られた電子音だった。
スマホをソファーに放った途端、
(いやいや……。良く考えたら、家に帰って、料理長に何か作って貰えばいいんじゃないの?)
そんな “正解” を思い付き。
けれど、白い指先が向かったのは、兄からの贈り物へ だった。
(どうせ、白ワンピとか、着せたいんでしょ?)
匠海の好みは熟知していた。
白ワンピに代表されるような、純粋可憐な少女が似合うもの。
若しくは、
“不思議の国のアリス” や “ペトルーシュカ” の様に、衣装として纏ったもの。
(ど、どんだけ……変態なんだ……orz)
よくよく思い起こせば、自分の元恋人の服の趣味は、最低最悪じゃないか。
今度はどんな、無理難題を押し付けられるのか?
恐るおそる、ショッパーから取り出した白い包みに、手をかければ、
「あれ……?」
白い薄葉紙に包まれたそれを開封してみても、出てきたのは意外や意外、黒色の服で。
取り出して掲げて見れば、ノースリーブのAラインワンピは、身体の線も綺麗に出て、シンプルに着こなせそうだった。
「意外……」
思わず呟いたヴィヴィは、ワンピをロッカーに吊るそうとし、
「って……、う゛ぇえええ~~っ!?」
「お前は本当に両家の子女か?」と、突っ込みたくなる声で絶叫した。
だって、腰の部分に布が無いのだ。
首の後ろでボタンで留めるタイプの上半身は、ちょうど△の形で背中の下から腰に掛けて開いていた。