この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章     

 眼鏡の奥の茶色の瞳が、アーティストとしての輝きに充ち溢れる様子に、ヴィヴィの瞳も知らぬ間に緩んでいた。 

「まあ、私も……。エキシビに出られる程、上位に喰い込める保証も、無いんですけどねえ」

 自分で言い出したくせに、弱気な事を呟くヴィヴィに、

「それ、イヤミ?」

 瞳を眇めた白砂が、意地悪してくる。

 確かにヴィヴィが2位以下に転落したのなんて、あの悪夢のミュンヘン五輪・個人戦くらいで。

「え? ち、違いますよっ スポーツなんで、何があるか解らないって事です」

 故障や病気、不調など。

 アスリートはいつ何時、それまでのベストパフォーマンスを生み出していた身体を、失うか分からない。

「ふうん。じゃあ、今シーズンは “俺と共演する事を最大目標” に励むこと! いいね?」

 ピアノの椅子に座ったままの元生徒。

 その細く高い鼻先をちょんと突いた白砂は、その指をびしっとヴィヴィに向けて命令してきた。

 トップスケーターのシーズン中の最終目標といえば、

 グランプリ・ファイナルでの金 もしくは 世界選手権での金――が通常で。

 けれどそうではなく「自分とショーで共演する事を目標にしろ」とけしかける白砂に、ヴィヴィは破顔した。

「あははっ じゃあ、めっちゃ頑張りますっ」

 昨シーズンの “黒ヴィヴィ様” からは想像出来ない、屈託の無い笑顔。

 それをしばらく見つめていた白砂は、

「ヴィヴィ、今夜、呑みに行かない?」

 そんな誘いを掛けて来た。

「あ~~、夜はリンク、行くんですよね」

 この後15:00から、スケジュールびっちりのヴィヴィは、申し訳無さそうに説明したが。

「ん~、そっか。何時に終わる?」

「ええと……23時くらい?」

(昨日はお兄ちゃんのせいで、19時上がりになっちゃったし……)

 微かに首を傾けながら答えたヴィヴィに、

「じゃあ迎えに行くから、飲みに行こう」

 そう再び、誘い文句を口にした白砂。

「えっと……?」

 やや強引な誘いに戸惑うヴィヴィの小指に、長い小指が引っ掛けられ、

「約束な?」

 にやっと笑った白砂に、ヴィヴィは「はあ……」としか返せなかった。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ