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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
自分はもう21歳なので、飲酒は可能で。
しかも白砂と過ごすのは、良くも悪くも面白い話が聞けて楽しくて。
ヴィヴィだって、行きたいとは思う。
思う、けれど、
簡単に首を縦に振れない原因が、1つだけあった。
渡英直前、白砂は「今度会った時こそ、ヴィヴィは正真正銘の成人だ。お酒飲みに行こう」と誘ってくれて。
しかし、その後に言われた言葉がまずかった。
『その時は、俺、ヴィヴィを酔わせて “お持ち帰り” しようかな?』
「あの……」
口ごもりながら上目使いに、ちらりと見上げれば「ん?」と促されて。
「えっと……、私達は先程、契約しました、よ、ね……?」
年末のアイスショーで、白砂にヴァイオリン演奏をお願いする。
今は口約束だが、後々契約書を交わし、報酬等の条件も固める予定で。
「そうだね」
グランドピアノに軽く頬杖を付いた白砂が、ヴィヴィを見つめながら頷く。
「という事は……、あの、その、いわゆる “ビジネスパートナー” ということで――」
まどろっこしい言い方をするヴィヴィに、白砂はくっと笑い代弁してくれた。
「ああ、つまり「ビジネス相手なんだから、セックスはしないよね?」ってことね?」
「セ……っ!?」
あまりに直球な物言いに、灰色の瞳が驚嘆で見開かれる。
今から8日前――忘れもしない8月1日。
信頼していた人間に手酷く裏切られたヴィヴィは、正直 異性と2人きりになる事に抵抗があった。
白砂はそんな無理強いをする人間では無い、とは思っている。
思ってはいるが。
互いに酒が入ればどうなるかだなんて、飲酒経験の浅いヴィヴィには、まだ想像が付かなくて
「はは。まあ、今日はしないから安心しろ」
「……今日、は……?」
じゃあ「次回はどうなんだ?」と、若干不安そうなヴィヴィに、
「行きたくない?」
頬杖を解いた白砂が、こちらへと距離を詰めてくる。
その様子を目に入れながらも、ヴィヴィは頭の中では異なる事を思っていた。