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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
今朝、執事の五十嵐から伝えられた言葉、
『本日から日曜日まで、匠海様と匠斗様がこちらに滞在されますので、ご了承下さいませ』
その事実が、何をしていても影のように、自分に纏わり付いて。
(私の隣の部屋で、お兄ちゃんが過ごす……。
何度も愛を確かめ合った “あの部屋” で――)
正気でいられるとは思えなかった。
奇しくも、最後に匠海と躰を繋げてからまだ、
たったの5日間しか経過していないというのに。
この屋敷で一緒に過ごしたくない。
ならばどうすればいいか――?
しばらく大きな瞳を、左右にさ迷わせていたヴィヴィ。
けれど、すぐ傍で自分を上から覗き込み、返事を待っている白砂に照準を合わせると、
「行きたい……です……」
そう、返事をするしかなかった。
「じゃあ、決まりだ」
楽しそうに瞳を細めた元講師は、元生徒の細く高い鼻をきゅっと抓むと、
今までに見たことのない、色っぽい微笑を浮かべたのだった。