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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
ちらちらと、視線の先にいる実の兄を見やりながら、心境を吐露する妹に、
「ちょうど俺も、呑みに行きたかったんでね」
そんな、全然説明になっていない言葉を投げ、割り込んできた匠海。
「だからって、何で妹のデートに付いてくるんです?」
くるりと後ろを振り向いた白砂は、心底恨めしそうに発したが、
「デ、デート……?」
ヴィヴィが咄嗟に発した、話の腰を折る疑問に、白砂は苦々しげにこちらを振り返った。
( “デート” だったんだ……、これ……)
妹の正直過ぎる態度に、兄はふっと大きく苦笑を零す。
「ご覧の通り、うちの妹にはデートのつもりは無かったようです」
夏らしい素材のエスパドリーユ(欧州のスリッポン状の靴)に包まれた大きな足が、一歩一歩、階段を踏みしめながら上がって来て。
「このままお帰りになりますか? それとも3人で呑みに行きますか?」
そんな究極の選択を、目の前で項垂れている白砂へと迫っていた。
「……~~っ!? あ゛~~、もうっ 結婚したからヴィヴィ、誘い易くなったと思ったのにっ」
あと一押ししたら、その場でホワイトデニムに包まれた脚で地団駄でも踏みそうな白砂は、結局折れるしかなく――。
結局、彼が手配していた大型タクシーの後部座席には、
匠海・ヴィヴィ・白砂
上記の順で、座っていた。
ぶっきらぼうに行先を告げた後は、むっつり黙り込んでしまった白砂。
訳が解らなく、板挟み状態のヴィヴィ。
何でここに居るのか、意味不明の匠海。
こんな3人が揃っても、会話が弾む訳も無く。
「………………」
バレない様に微かに嘆息した、その時。
スマホの振動を感じ、ヴィヴィは太ももの上に載せていた黒の型押しバッグを探った。
数秒後、
「あ……、クリスったら」
明るい声を上げたヴィヴィに、
「……どうしたの?」
右隣の白砂が、やや不思議そうに見つめてきて。
「あ、はい。昨日、私が双子のHPに、動画を載せたんですけど……。ふふ、クリスもさっき、動画投稿したみたいで」