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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
白砂へ向けたスマホに表示されていたのは、双子のHPに投稿されたクリス‘S DIARYだった。
題名 : SURE!!(もちろん!!)
本文 : For ヴィヴィ
添付 : 動画
昨日、ヴィヴィがHPに投稿した、
題名 : ARE YOU READY~~!?(準備出来てる~~!?)
本文 : For クリス
添付 : 動画
上記の動画に応えてくれたらしい。
「へえ、動画 観せて?」
白砂に促されて動画を再生すれば、
どうやら自分でセットしたらしいスマホに向かい、チェロを奏でるクリスの姿があって。
約1分の短い演奏は、昨日のヴィヴィの選曲と同じく『Twinkle twinkle little star(きらきら星)』だった。
「ふうん。ヴィヴィのピアノは、可愛らしいJAZZで。しかし、クリス君のはしっぶいねえ~」
白砂は双子それぞれの動画を聞き比べ、やっと面白そうに笑ってくれた。
「Twinkle ICEの?」
左隣から尋ねてきた匠海に、ヴィヴィはちらりとだけ そちらを見て頷く。
「う、うん。もうすぐ、だから……」
3週間後に迫った、双子主催のアイスショー “Twinkle ICE”
初めての試みで「盛り上がればいいな」と思い、ヴィヴィは自身のピアノ演奏を、たった1分だけ投稿したのだ。
そうこうしていると、タクシーは目的の場所に到着し。
少しだけ打ち解けた(?)3名は、揃ってバーへと吸い込まれて行った。
白砂が連れて来てくれたのは、南麻布にあるバーだった。
黒とグレーを基調にした内装に、青い照明が映える落ち着いた雰囲気は、ヴィヴィからしたら大人過ぎる空間で。
あまりの場違い感に、内心ふわふわと浮ついていた。
黒い籐編チェアーに腰掛け、バーカウンターに着けば、耳に入ってきたのはJAZZのサウンド。
「あ……」
良い音響設備を使っているのがすぐに解かり、右隣に腰掛けた白砂を振り返れば、
「JAZZ、好きだろ?」
にやりと笑いながら見つめられ、ヴィヴィは嬉しそうにこくりと頷いた。
結局、タクシーの並びと同じく、
匠海・ヴィヴィ・白砂
上記の順で並んだ3人。