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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
次いで、グラスの中でミントがマドラーで潰されると、辺りには清涼感溢れる香りが漂っていた。
両脇の男2人には、届いていない様だが。
「誰が鼻息荒いっていうんですか、誰が!」
ムキになって言い返す白砂に対し、匠海は常に余裕綽々で。
「ほほう。己を知らぬ男には何を言っても “馬の耳に念仏” ですね」
「……~~っ!? てかなんでさっきから、馬を例えに持ち出すんです?」
ついにプチ切れた白砂は、さて置き。
ヴィヴィの目の前では、ラムとライムジュース、ミントシロップ、そしてそれをソーダで割った、モヒートが完成した。
(うわぁ……、緑みどりしてて、見るからに爽やかっ)
2本添えられた細い黒ストローを不思議に思いながら呑んでみれば、見た目通りの爽やかさとクール感が口いっぱいに広がった。
「貴方が先に言い出したのでしょう。馬のことわざを “この俺” に。売られた喧嘩は進んで買うほうでしてね」
何だか今日の匠海は、随分と口が達者――というか舌が滑らかだ。
もしかしたら、同い年の白砂とは気が合うのかも知れない。
だって、
「~~~っ!? ああ言えばこう言うなあ、くそっ かくなるうえは、テキーラで勝負だ!」
喚いて けしかけた白砂に、
「望むところです」
そう、乗っていたのだから。
ライムを齧り、ショットグラスを空け。
塩を舐め、またショットグラスを空け。
その度に、コンっと小気味の良い、グラスをカウンターに置く音が響いていた。
「………………」
(……なんだ、これ……)
3杯、4杯……と、呑み比べを繰り広げる両者。
喧々囂々な男2人の間で、ヴィヴィは無関心を決め込む事にした。
匠海が酒豪なのは周知の事実。
白砂は――
まあ、自分から吹っかけたのだから、きっと強いのだ、うん。
とは言っても、手持無沙汰で。
目の前にあったカクテル・リストを見つめ、何ベースのカクテルがあるのか等、目で追って行く。
ジン、ウォッカ、ラム、ウィスキー、ブランデー、そして兄達が呑み比べているテキーラ。
この6種類をベースにしたものが多く。