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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章
図星を指してくる白砂に、小さな顔に宿ったのは にへらと締りの無い笑顔。
「ふふ。それもありますが、兄と今先生のじゃれ合いも、中々のものでした」
「じゃれ合い……」
21歳の女1人を巡っての戦いを “じゃれ合い” と一蹴され、やや放心状態の白砂。
その目の前で、今度こそタクシーへと押し込められた妹と兄を乗せ、すぐに発車しようとする車。
「あ、えっと、おやすみなさいっ」
匠海側のウィンドウを、身を乗り出して開けたヴィヴィは、白砂にそう挨拶する。
結構酔っぱらった状態の元講師を、置き去り状態にしてしまい。
心苦しくなったヴィヴィは、帰途を辿る車の中でメールを打ち始めた。
「酔うぞ?」
確かに、車中で下を向きメールを打つだけでも、気持ち悪くなりそうだし、酒も入っている。
兄の助言を無視しつつも、
『また、ご連絡します。おやすみなさい』
とだけメールしたヴィヴィ。
そして、その後の記憶は……無い――。
計10時間を超えるレッスンに、5杯のカクテル。
その抜群の睡眠導入剤に導かれ、ヴィヴィはタクシーの後部座席で爆睡してしまったのだった。