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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第4章     



 これでいい。

 これでいいんだ。

 私は、

 “兄の下で可愛く喘ぐ ヴィクトリア” 

 には、

 もう、なれやしないから――。



 ゆっくりと上半身を起こしたヴィヴィ。

 兄の太ももに後ろ手を突いて、また挿入を繰り返せば。

 弱い膣裏全体に感じる、ごりごりと逞しい陰茎の形に、途端に腰が戦慄き始める。

「ぁんっ あ、ひゃう……、ひゃんっ ん、んん~~っ」

 シフォンワンピの裾に隠されたそこ。

 しどとに蜜に濡れた膣口が、いつに無くきゅうと兄の分身を締め上げる。

 もう、限界が近かった。

 兄の腰を跨いだ両膝は、ぺたりとシーツの上に倒され、

 その上の細い腰は、弧を描いてしなり、

 シフォン素材に包まれた薄い胸は、はしたなく前へと突き出され。

 そして、

 その上の金色の頭は、ふるふると横に触れながらも、天井を仰いでいた。

 ぱちゅん、ぱちゅん。

 互いの肌が触れ合う音にさえ煽られ、狭い蜜壺がかっと熱を帯びる。

「はぅっ あ、やっ ~~っ も、あん、イ、イっちゃ……っ」

 まるで、膣全体が心臓になったかのようだった。

 どくどくと鼓動するそこに、強く陰茎を押し当てれば、

 目の前が一瞬真っ白になって。

「~~~っっ ……イっ ぁ、ぁあああ……っっ!!!」

 膣全体が過敏になって、中に兄を銜え込んでいることさえ、苦痛に感じるほどだった。

 自分の中を深くまで穿つのは、

 自分では無い、赤の他人。
 
 どうやっても旨く交われない両者の溝を、そんな自分のあられもないところで感じながら、

 ヴィヴィの心も躰も、独りだけで頂点を極めた。
 


 気持ち良かった。

 やっぱり匠海のものは、太くて逞しくて、物凄く硬くて。

 病み付きになりそうなほど、良かった。

 けれど――

 確かに、良いのだけれど。

 何故だろう。



 余計に欲求不満が深まった気がして、ならなくて。



 少し躰が落ち着いて、ギュッと閉じていた目蓋を開いたヴィヴィ。
 
 仰け反っていた金の頭を戻し、下にした匠海を見下ろせば、

「ああ、ヴィクトリア……。気持ち良くイケたね」

 切れ長の瞳を緩めた兄が、誇らしげに妹を誉めてきた。

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